Nature Study: MIST
自然への共感を促す視点や表現を模索する
自然破壊につながるものづくりや、それを加速させる消費スタイルの限界から、さまざまな取り組みが進められる現在。we+では、環境保護という画一的な視点にとどまらず、自然や社会環境と人間の関係を見つめ直し、親密な共存関係を築くデザインの可能性を探究しています。その一つが、自然とともに暮らしてきた歴史を学び、自然への共感を促す視点や表現を模索するリサーチプロジェクト「Nature Study」です。水や風の流れ、光のきらめき、磁力や重力といった自然現象の移ろいやゆらぎ、多層的な美しさと人々の関係を、歴史やフィールドワークを通して紐解くとともに、実験を繰り返すことでプロダクトの制作手法やインスタレーションの要素として昇華。人工と自然が融合した新たなもののあり方を提案しています。
Nature Study: Mist展では、霧をテーマに次の5つのセクションで会場を構成しました。
- 言葉と文学
- フィールドワークと実験
- インスピレーション
- プロトタイピング
- インスタレーション ― Waft
Project Details
- Year
- 2022
- Category
- Venue
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- nomena gallery Asakusa [Tokyo]
- Photo
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- Masayuki Hayashi
Installation
霧のふるまいをより鮮明に感じるためのインスタレーション - Waft
Waftは、霧のふるまいをある空間の中で再現することで、自然をより鮮明に感じるインスタレーションです。人々は古来より自然とともに暮らしを営んできました。とりわけ、ゆたかな自然に恵まれた日本では、霧にまつわる言葉だけでも枚挙にいとまがなく、薄霧、川霧、夕霧、靄(もや)、霞(かすみ)と、さまざまな表現が存在します。自然への繊細な感覚と共感は、俳句や書画、季節の行事にも多数垣間見ることができます。しかし、利便性や合理性が求められる現代の暮らしにおいて、霧はただ視界を遮る気象変化と捉えられがちであり、想いをはせ、愛でる感覚は失われつつあるのかもしれません。Waftでは、フレームの中でゆらめく霧を、絵画のように眺める。丸窓の中に立ち込める霧を俯瞰し、ときに触れてみる。それらの体験を通して、人々が本来持つ自然への細やかな感性を呼び覚まし、自然とのつながりを取り戻すきっかけを提供しています。